新ウィーン楽派のシェーンベルクは、表現主義の時代に、人間の内面の心理を描いた《期待》や《幸福な手》を作曲し(ともに少々遅れて24初演)、またアルバン・ベルクは、自分の戦争体験を踏まえて、無調によるオペラの代表作《ヴォツェック》を書き上げました。
さらに、シェーンベルクは《今日から明日まで》で、初めてオペラに十二音技法を採用したが、旧約聖書による《モーゼとアロン》(30~32作曲)は、ついに未完成に終わり、その点ではベルクの十二音によるオペラ《ルル》と同じです。
ゲオルク・ビュヒナーの戯曲断片《ヴォツェック》に曲をつけた作曲家としては、ベルク以外にもマンフレート・グルリットがおり、《ヴォツェック》(26)の他、《兵士たち》(29)、《ナナ》(58、作曲は30年代前半)などの作品を残しています。
20年代から30年代にかけて活躍したオペラの作曲家としては、エルンスト・クルジェネクが重要です。
《ジョニーは演奏する》(27)、《執政官》(28)、《秘密の王国》(28)、《オレステスの生涯》(30)、《カール5世》(38)などが立て続けに書かれています。
ジャズ奏者を主人公にした《ジョニー》は、後にナチスによって〈頽廃芸術〉の烙印を押されたが、多少なりともジャズをオペラに取り入れた例は、ガーシュインの《ポーギーとベス》(35)以前にもいくつかあります。
ジョージ・アンタイルの《トランスアトランティック》(30)などは、その代表的な例でしょう。
この作品は、映像やレコ_ドといった、新しいメディアをオペラに利用した点でも画期的なものでした。